中国健康食品(保健食品)等の審査認可制度について
日本で食品を健康食品として販売する時、栄養機能食品または特定保健用食品の許認可を消費者庁から取得すると同じように、中国で健康食品を販売するにも当局の許認可が必要です。
尚、日本で完成された食品認可制度と違い、中国の健康食品審査制度は発展途上であり、管理体制整備の改善は進んではいるものの、煩雑だったり分かり辛かったりするので、中国進出したい日本の食品メーカーを困らせていました。
中国健康食品(保健食品)の審査認可制度の歴史的沿革
- 1998年
-
薬政管理局(衛生部)と国家医薬管理局(SDA、国家経済貿易委員会)が合併し、国家薬品監督管理局(CDA)が成立
- 2003年
-
国家薬品監督管理局をベースに、国家食品薬品監督管理局(SFDA)が設立
健康食品や医療用食品などが、医薬品・化粧品と共にこの機関で承認を受ける体制となる。 - 2004年
-
SFDAにおける食品安全部門の役割を明確化
- 2008年
-
SFDAは衛生部管轄となる
- 2009年
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中華人民共和国食品安全法が実施される
- 2010年
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国務院食品安全委員会が設立される
- 2011年
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食品許認可の機能を国務院食品安全委員会に移動される
- 2013年
-
SFDA、国務院食品安全委員会など計4部門が合併し、国家食品薬品監督管理総局(CFDA)が設立
この時点で、食品関連の許認可はCFDAが行う - 2015年
-
中華人民共和国食品安全法が改定
- 2018年
-
CFDAが各政府機関と合併を行い、国家市場監督管理総局(SAMR)が成立
現時点では、中国で販売する健康食品(保健食品)や特医食品(特別医療食品)はSAMR(国家市場監督管理総局)で審査され許認可を受けている。
また、SAMR内部で組織再編が行い、医薬品や化粧品の許認可はSAMRの下級機関NMPA(国家薬品監督管理局)で行われる事になるが、食品はSAMRの管轄のままになる。
なので、医薬品・化粧品・食品が全部FDA管轄となっているアメリカとは違い、寧ろ医薬品・化粧品がPMDA・食品が消費者庁と別々管轄になっている日本とは近い形になっている。
将来SAMRが更に食品専門の下級機関を作る事も予想されるが、その場合は弊社が即一次情報を発信するよう努めます。
中国での食品分類
日本ではトクホ(特定保健用食品)、栄誉補助食品や機能性表示食品などそれぞれ申請が異なる様に、中国において食品製品の申請を行う前に、まずご自身の商品は中国でどの様な分類なのかを把握する必要があります。
基本的に中国で販売する食品は3種類に分かれます

一般食品
人が食用または飲用する為の物質であり、加工食品・半加工食品・非加工食品はこれに含む。
機能性成分や特定の医療用途を有してなく、健康食品や特医食品には該当しないもの。
一般食品の申請について
人が食用または飲用する為の物質であり、加工食品・半加工食品・非加工食品はこれに含む。
機能性成分や特定の医療用途を有してなく、健康食品や特医食品には該当しないもの。
一般食品の実例




関連法規・条例・ガイドライン例
- GB/T 20981-2007
-
パン類基準
- GB/T 20980-2007
-
ビスケット類国家基準
- GBT29602-2013
-
固体飲料基準
- GB/T 31326-2014
-
植物飲料基準
- GB17325-2015
-
濃縮果汁基準
- GB 13100-2005
-
缶詰め食品基準
- GB/T 19343-2003
-
チョコレート及び準チョコレート基準
*食品の類によっては、健康食品(保健食品)や特医食品と共通する場合がります
一般食品の申請プロセス
該当製品は一般食品・健康食品・特医食品の何れに該当するか、一般食品として中国で販売できるかを判断します。
原産地に関して
- 産地禁止区域に該当せず
- 日本政府機構発行の原産地証明書・放射線物質測定合格証明を有する事
成分に関して
- 成分チェックによって、一般食品に該当する事
- 中国で禁止されている成分は含まれていない事
- 該当する中国の食品関連規準に基本的に外れてない事
- 健康食品や医薬品に使用される機能性食品原料や医薬品原料が含まれていない事
- 健康食品や医療用食品の様な功能を有しない事
一般食品として販売できると判断された場合、ラベルにNG表現がないかなどを確認します。
必要に応じて弊社で中国語ラベルを作成いたします。
日本の企業様が提供する書類例
- 税関と検疫部門の輸出に関する届出資料
- 食品流通許可証(弊社が取得します)
- ラベルの届出資料
弊社が作成する書類例
- 衛生に関する証明資料
- 成分分析報告書
- 原産地証明書
- 放射線物質測定合格証明書
- 自由販売証明書
- 装填日証明書(飲料水、酒類の場合必要)
* 中国語必要な部分は弊社が翻訳します
現場検査、ラベル検査、感覚器官検査、衛生検査などを行う
合格した際には「衛生証書」を発行し、「衛生証書」を持ってして中国での継続的な輸入販売が可能になる。
弊社の中国法人が「中華人民共和国食品安全法」「輸入出食品安全管理弁法」などに従い、責任を持って日本の企業様の製品の輸入記録及び販売記録体制を構築、定期的に検疫部門に対し品質安全報告を行い、安全安心な食品中国輸出販売をサポート致します。
健康食品(保健食品)の申請について
日本で定義されている「健康食品」と近く、機能性成分を有することで身体機能を調整し、健康促進する役割を持つ。
疾患の治療を目的、または何かの医療用途としていない。
健康食品の実例




健康食品の種類
健康食品の中での更なる分類は効能によって分けられます。
健康食品の効能というのは、あくまで身体調整のサポートであり、治療効果ではない事を注意する必要があります。
大まかな分類というと、健康食品は「栄養補助食品」と「機能性食品」に分けられます。
健康食品には27種類の効能があり、そのうち、栄養補助食品の効能は「栄養補助作用」であり、それ以外の効能は機能性食品になります。
健康食品27種の効能一覧
- 栄養補助作用(ビタミン、ミネラル等)
- 血中脂肪降下
- 血圧降下
- 抗酸化
- 記憶力増強
- 目の疲労抑制
- 鉛排出
- 喉ケア
- 睡眠改善
- 乳分泌促進
- 疲労改善
- 酸素不足耐性改善
- 放射線被害保護作用
- 成長サポート
- 骨密度改善
- 栄養性貧血改善
- 化学性肝障害保護作用
- ニキビ改善
- しみ改善
- 皮膚水分改善
- 皮膚油分改善
- 消化機能改善
- 便秘改善
- 胃粘膜障害保護作用
- 腸内細菌の調整
- 免疫力改善
- ダイエット
栄養補助食品と機能性食品とも健康食品ですが、現実問題として申請の難易度が大きく異なります。
まず大前提として、健康食品の効能は健康食品の含まれる機能性原料から由来することになります。
効能と機能性原料は勿論整合性がないといけません。
即ち「機能性原料の化学的・生物学的活性により、人間の体内に対しこの様な影響をもたらし、結果的にこの様な効能になっている」というロジックが必要です。
栄養補助食品は、ビタミンやミネラルなどの栄養成分が機能性原料であるため、ロジックが非常にシンプルになっていますが、機能性食品が有するその他の効能には、機能性原料の生物的活性や臨床に関するエビデンスなどの科学論文や研究内容からロジックを成り立たせる必要があり、機能性食品の申請にはより高い専門性と科学性が求められます。
関連法規・条例・ガイドライン例
- GB16740-2014
-
保健食品通用基準
- GB 14880-94
-
栄養補助食品の衛生基準
- GB 13432-92
-
特殊栄養食品のラベルに関する基準
*食品の類によっては、一般食品や特医食品と共通する場合がります
健康食品(保健食品)の申請プロセス
該当製品は一般食品・健康食品・特医食品の何れに該当するか、一般食品として中国で販売できるかを判断します。
原産地に関して
- 産地禁止区域に該当せず
- 日本政府機構発行の原産地証明書・放射線物質測定合格証明を有する事
成分に関して
- 成分チェックによって、健康食品に該当する事
- 中国で禁止されている成分は含まれていない事
- 該当する中国の食品関連規準に基本的に外れてない事
- 医薬品に使用される薬用成分が含まれていない事
健康食品の効能は機能性原料に依存しています。
中国で販売する健康食品は、基本的に下記3つの条件を達成しなければいけません。
- 健康食品には機能性原料を含有しており、該当機能性原料の生物学的性質と健康食品の効能と整合性があり、科学的なエビデンスがある事
- 機能性原料ば中国で許可されている原料である事
- 健康食品の効能は中国で許可されている効能である事
健康食品の機能性原料一覧(アップデートによって随時変化しています)
- 食品と医薬品で両方使用できる食品原料リスト:約87種
- 保健食品で使用できる生薬リスト:約114種
- ビタミン・ミネラル・魚油等栄養成分リスト:約100種
- 保健食品で使用できる善玉菌(真菌)リスト:約11種
- 保健食品で使用できる善玉菌(細菌)リスト:約10種
健康食品の効能・品質・安全性を評価する為の検査であり、一般食品で行われている検疫検査ではありません。尚、健康食品で許認可を得たとしても、通関する際は検疫検査を受けます。
- 衛生学検査
- 安定性試験
- 効能性分試験
- その他の試験
健康食品の申請に当たって、下記の書類が必要となります。(一部例)
- 保健食品備案登記表・誓約書
- 申請会社の登記証明書類
- 配合原料資料
- 生産プロセス
- 安全性及び保健機能評価資料(3ロット分の検査データ)
- 食品包装材料の種類・名称・標準(食品と接触する包装素材とその安全性等)
- 製品の日本のパッケージ資料と中文ラベル
- 製品技術要求 (感覚器指標など)
- 検査報告書(サンプル検査後に受け取る報告書)
- 販売実績証明(日本における1年以上の販売実績が必要)
- 日本の健康食品関連標準を示す資料(取得特許、文献資料等あれば)
- その他必要に応じた補足資料
SAMR機関へ申請提出します。
審査には数か月かかりますが、資料不十分の時はフィードバックに応じて、30営業日以内に追加資料を提出する必要があります。
許認可を受けた健康食品には「輸入保健食品認可証書」が発行されます。
弊社の中国法人が「中華人民共和国食品安全法」「輸入出食品安全管理弁法」などに従い、責任を持って日本の企業様の製品の輸入記録及び販売記録体制を構築、定期的に検疫部門に対し品質安全報告を行い、安全安心な食品中国輸出販売をサポート致します。
特医食品の申請について
全称「特殊医学用途配方食品」。患者または乳児・超高齢者等が摂食や消化などの事情により、それらに合わせて作られた食品である。
医療用途ではあるが、疾患の治療を目的としていない。
特医食品の実例




特医食品の種類
特医食品は医薬品ではないので治療効能はないとは言え、患者などを対象に医学的用途として使われているので、成分・用途・服用対象者によって3種類に分かれます。
全栄養特医食品
患者等の標的服用対象に対し、単一栄養源として長期的な健康維持が可能。
患者や乳幼児などが該当製品のみ服用した場合でも栄養不良は起きず、寧ろ健康促進が可能になる。
一言で言うと医療用完全食。
特定全栄養特医食品
代謝・臓器・身体機能が不完全な患者に対し、単一栄養源として長期的な健康維持が可能になる様に設計された食品である。
基本的に全栄養特医食品を元に、特定な疾患による代謝状況に合わせて調整された製品と考えて頂ければよい。
一言で言うと特定な疾患に使う医療用完全食。
非全栄養特医食品
患者等の標的服用対象に対し、単一栄養源として長期的に摂取すると栄養不良の恐れがあり、あくまで補助食品として扱うもの。例えば特定な患者に対し特定な栄養素のみを補給するが、その患者はこの栄養素のみで生きていけないという事と同じである。
関連法規・条例・ガイドライン例
- GB29922-2013
-
特殊医学用途配方食品通用基準
- GB29923-2013
-
特殊医学用途配方食品製造基準
- GB25596-2010
-
乳幼児食品通用基準
*食品の類によっては、健康食品や一般食品と共通する場合がります
特医食品の申請プロセス
該当製品は一般食品・健康食品・特医食品の何れに該当するか、一般食品として中国で販売できるかを判断します。
原産地に関して
- 産地禁止区域に該当せず
- 日本政府機構発行の原産地証明書・放射線物質測定合格証明を有する事
成分に関して
- 成分チェックによって、一般食品に該当する事
- 中国で禁止されている成分は含まれていない事
- 該当する中国の食品関連規準に基本的に外れてない事
特医食品は特定な疾患を有する患者や特定な身体状況(年齢層)の人向けの食品であり、治療を目的にしないが食事療法などの医療用途に使用する為、厳密な要件定義を行う必要があります。
どの類の特医食品に該当するか
- 全栄養配方食品
- 特定全栄養配方食品
- 非全栄養配方食品
服用対象者の設定
- 年齢層の設定(乳幼児・高齢者など)
- 身体状況の設定(妊婦・摂食障碍など)
- 疾病対策の設定(糖尿病・肝障害・腎障害など)
栄養成分の設定
10歳以上対象の全栄養配方食品を例とすると、下記項目が指標になる
- 3大基本栄養素
- ビタミン13種
- ミネラル12種
- その他の栄養成分9種
- その他の機能性原料・薬用原料や生薬はNG
GB29922-2013(特殊医学用途配方食品通用基準)などのガイドラインに明確な定義があるので、弊社が責任もってコンサル致します
用量の設定
GB29922-2013(特殊医学用途配方食品通用基準)などのガイドラインに明確な定義があるので、弊社が責任もってコンサル致します
健康食品の申請に当たって、下記の書類が必要となります。(一部例)
- 特殊医学用途配方食品登録申請表
- 申請会社の登記証明書類
- 配合原料資料
- 医学的根拠に関する資料
- 生産プロセス
- 安全性及び医学機能評価資料(3ロット分の検査データ)
- 食品包装材料の種類・名称・標準(食品と接触する包装素材とその安全性等)
- 製品の日本のパッケージ資料と中文ラベル
- 製品技術要求 (感覚器指標など)
- 検査報告書(サンプル検査後に受け取る報告書)
- 販売実績証明(日本における1年以上の販売実績が必要)
- 日本の健康食品関連標準を示す資料(取得特許、文献資料等あれば)
- その他必要に応じた補足資料
臨床試験品質管理規範に従って、臨床試験を行う。
SAMR機関へ申請提出します。
審査には数か月かかりますが、資料不十分の時はフィードバックに応じて、30営業日以内に追加資料を提出する必要があります。
弊社の中国法人が「中華人民共和国食品安全法」「輸入出食品安全管理弁法」などに従い、責任を持って日本の企業様の製品の輸入記録及び販売記録体制を構築、定期的に検疫部門に対し品質安全報告を行い、安全安心な食品中国輸出販売をサポート致します。